2009年4月
4月の星空情報
赤道に近いパラオでは、南十字星はいつも見えているのではなくて、時期によって明け方の数時間しか見れないこともあったり、全く見えない時期(9・10月)もあるのですが、4月は一年中で最も南十字星の観察に適した時です。

4月では、夕方空が暗くなってきて星が見え始めた頃、東の低い位置に見えていて、10時から11時頃になると真南の一番高い所にあって、それから少しづつ西へ移動しながら明け方に沈むまで一晩中見ることができます。
同じ夕方7時でも、3月ではまだ水平線の下にあって見えていなかったのが、5月、6月になると少しづつ出る時間が早くなってきて、夜半には沈んでしまうようになります。

左は友人がパラオでカメラを真南に向けて撮った写真ですが、よく見ると中央の少し右上に南十字星が写っています。
これを撮ったのはPM7時頃でもっと暗くなっていたのですが、写真では増感していて、空は実際よりも明るく写っています。
十字が右に少し傾いているのが分かりますか?
この傾き方は時間ごとに変わっていくので、この写真を撮った時間がわかっていれば何月何日頃撮影されたのか、また、日付けが分かれば撮影した時間がわかるようになります。
さらに、水平線が写っていればそこからの高さと、長距離航海するときに使う世界時(イギリスのグリニッジでの時間)から、その場所(大体の緯度、経度)まで分かってしまう興味深い星です。

そしてもう一つ、金星もまた私を楽しませてくれる星です。
夜空をわざわざ見に行くというのはパラオにいてもなかなか思いつかないものだけど、金星が見える時は必ず低い位置なので、車で走っていても目線の少し上に、他の星より際立って明るく輝いているので普通に目にとまります。
宵の明星、明けの明星といわれる金星は、今年2月まではずいぶん長く宵にあるのが、観察するのではなくても自然に見えていました。
日本の友達から星空情報が時々届いていて、3月25日に地球から見て金星と太陽が重なり、それからは明け方に見えてくるようになるとあります。
今まではいつの間にか明け方に替っているのに気がついたのだったけど、部屋からも見える位置なので毎日同じ時間に注意して見るようにしていたら、3月になって急に動き始めました。
地球と同じ方向で太陽の周りを公転しているけどスピードが違うので1箇所に長い間、とどまっているように見えていたのが、1日づつ下がっていくのが分かります。
3月半ばには太陽に近くなってきたので見ることが出来なくなって、今は日の出前に見えるようになってきました。

こちらで仕事上、海だけでなく星のガイドもしているのだけど、実を言うと星座に関してはどれかとはっきりと言えるのは北斗七星、オリオン、カシオペア、さそり座、南十字くらいで、他の星座は探してと言われても困ってしまう、自己中心的な説明ばかりしている星空案内人です。
星座のガイドブックを見て線をつないでいっても、どんなに想像力を働かせてもそんな形には見えないぞ、と思うことが多いし、それよりも興味があるのは星の動き、つまり天体のしくみを考える方がロマンがあって楽しいと思いませんか?