2009年5月
セーリングカヤック

構想5年、製作日数3週間で一応完成。
風を利用した道具ヨットでは、単純に風と遊ぶのだったら、小さいほど楽しいのではないかと以前から思っていました。

NAKIRI号に載せているオプティミストディンギーは元々、子供の練習用に設計されたのだけど、その小さいサイズでも帆走性能がいいので小中学生での国際クラスになり、世界選手権も行われています。
子供も楽しいのだけど、もちろんサポートするのは親で、時に熱中するあまり自分で乗ってしまうこともあるようです。
大人が狭いコクピットで体を屈めて、タックする度に傾いて沈みそうになるのは見ていてもおもしろいのだけど、実際に乗ってみると意外に楽しいのです。

それで、限界の小ささとはどんなものだろうかと考えて思いついたのが、やはり搭載しているカヤック。
二人乗りではあるけど細身で幅はオプティミストディンギーの三分の二くらいしかないので、ひっくり返らないでセーリング出来るのかさえもわからない状態から改造の構想をスタート。
普通のカヤックにはない舵や、横流れを防ぐためのセンターボードも必要だし、一番の問題は風圧の中心を低い位置にするためにマストやセールの形をどうするかということ。
どんな形にしても面積は小さくなるから、当然帆走性能が悪く、風向きによってはパドルで漕ぐことにもなるから、その時邪魔になったセールはどうするかなど。
資材も、女房に早く捨てなさいとさんざん言われていても、何かで使うことがあるかもしれないと思って今まで捨てないでいた物を利用して、暇なときに時間はかけるけどお金はかけないということでずいぶん長くかかってしまいました。

製作での一番の困難はやはりセール。今までに修理をしたことはあっても全く新しい形で作るとなると、平らではなくて風を受けた時に曲面になるような裁断をどうするかなど、低いセールで横が見えなくなるから透明な窓も作ったりで、どんな物ができるか最後まで不安でした。

一応完成したカヤックは今、アパートの下の農園兼ボートハウスに持って来ています。
試運転ではセールの膨らみの形状が予想以上に良くて、いい感じで風をはらんでいるのだけど、推進力は今ひとつで、全体的にはやはり無理なデザインなのかもしれません。
セールを引き込む位置を変えたり、舵を操作するのに足を使ったりと今はチューニングに楽しい毎日ですが、製作中もデザインを考えたり、セ−ルを作るのに何日もミシン掛けをして職人になりきった気分で、物造りの楽しさを覚えてしまいました。
あっ、またNAKIRI号の遊び道具を2つ、アイディアがひらめきました。