2011年10月
トラウマ
自他共に認める”海の男”と言われることを目指している私ですが、
こう見えても実は水泳が苦手です。
ダイビングのインストラクターでもあるので、マスク・フィンをつけて、時には1〜2キロを泳ぐ事はあっても、マスク無しの平泳ぎでは少ししか、クロールになると息継ぎができないので全く形になりません。
今までずっと職業ダイバーをやっていて、パラオに来てからも、こんなに長く海の生活をしていても泳ぎがヘタなのには訳があります。
マスクをつけないで普通に泳ぐと、目とか鼻のあたりに水がかかって、それだけで
息苦しくなってしまうのです。
顔を海につけるのだけでなく、温水のシャワーならまだしも、冷たい水のシャワーでは、体は普通に浴びても顔に水がかかると呼吸が乱れてきます。

その原因は、40年も前になるダイビングの始め方に問題があったようです。
私が初めてダイビングで海に潜ったのは、工事ダイビングの会社に入ってすぐの頃、陸上でのダイバーを支援する作業の合間に、近くに置いてあったタンクとレギュレーターを勝手に使って、周りに誰もいない時に一人で潜っていました。
それから、水中溶接や水中写真撮影などの仕事は教わっても、潜る事に関してはちゃんと出来るようになっていたので、誰にも教わる事はなく潜水調査などの仕事を続けてきました。

私の場合、ダイビングスキルの基本の耳抜きはシュノーケリングをしていたので知っていたのだけど、マスククリアーは誰にも教わる事はなかったので、シュノーケリングの時のようにマスクに入ってきた水は水面に上がってから出すのだとばかり思っていました。
ずいぶん長い間、マスクだけはなるべく水が入りにくい、かなりいい物を選んで買うようにして、それでもどうしても少し入ってくるのを我慢する日々が続きました。
水深40メートルの海中で仕事をしている最中に、マスクに入ってきた水を出すためだけに水面まで浮上するのはかっこ悪いので、少しずつ入ってきた海水が鼻の上まで来て、目の辺りまで来たときには恐怖で、水面に飛び上がりたくなるのを必死で抑えていました。
なんで、誰も教えてくれなかった、というか、誰にも恥ずかしくて聞けなかったのがあるのだけど・・・
その時から”顔に水がかかるのが怖い病”になってしまいました。

今でもたまにダイビングの実技講習で、マスククリアーを人にやらせる事があるのだけど、水中で見本を見せる時には、たぶん自分の顔がかなり引きつっているのではないかと思っています。