2011年11月
本気で南十字星


11月中旬になって、8月中頃から3ヶ月間見ることが出来なかった南十字星が見えるようになってきました。
ただ、今は、朝4時半に水平線や山陰から出て見えてくるのと、空が明るくなってきて見えなくなってしまう数十分のチャンスしかないので、この季節ではちょっと早起きの努力が必要です。

以外と思うかもしれませんが、世界中で一番綺麗な南十字星を見れるのがパラオだと断言できます。
パラオよりも少し緯度の高い沖縄やハワイなどではもっと低い位置にあって見るのが難しいし、南半球にあるニュージーランドやオーストラリアの南部などでは一年を通して見れるけど、天頂近くで横になったり逆さになっている十字の星座を見ても美しいとは感じさせません。
パラオでは季節と見る時間帯が限られるために、それを調べる努力なしで見るのは難しいのだけど、椰子の葉陰の少し上に見つけた時には誰もが感激する美しさです。

パラオでガイドをしていて、話題に詰った時に持ち出すのが南十字星のはなし。
ある程度の年齢以上の人なら、南十字にまつわる歌や南国の旅情に想いを馳せるはずです。
私も以前はそうだったのだけど、聞かれた時に「確かこの辺に・・・アレッ?・・」とか、あいまいな事ではガイドとして失格です。
以前に、ある旅行会社の人が「パラオでは南十字星は見れない」と観光客に話しているのを聞いたことがあり、見れないのではなくて、見つける努力をしないからだと憤慨したことがあります。

南十字星をちゃんと確実に見つけようと思うと、南半球用の星座早見表で位置がわかります。
ところが観察場所によってもかなり違っていて、季節や時間の関係も調べる必要があります。
ただ、天体の動きを知るには難解な文献や複雑な図しかないので、基本的には簡単な円周運動をしている南十字星の場所を見つける方法を自分なりに考えてみました。

上の写真の右側に直立している南十字星は、5月中旬の21:00頃撮影しました。
下の図では、天体は水平線の少し下(北緯8度のパラオでは約8度)の南の軸を中心にして回っているように見えるので、南十字星も1日の24時間で右回りに一周して、傾いたり、東寄りや、西寄りで見えます。
図では点線の1目盛りが1時間で移動する位置です。
それから、夏の星座、冬の星座があるように、冬に見えているオリオン座が夏には同じ真上でも昼間なので見えないことでも、1年の12ヶ月をかけて移動しているのが分かります。
図では、12分の1になる点線の2目盛りが1ヶ月で移動する位置になります。

写真のように5月の21:00頃に直立している南十字星が、4月では23:00頃、6月では19:00頃同じように見れます。
5月の同じ日でいえば、21:00に直立しているのが、20:00では少し左の位置で左に傾いていて、22:00では少し右側で右に傾いているのが見れます。
これを元に、少しずつ季節や時間をずらして、動きと傾きの関係を理解してみてください。

さあこれで、次回のパラオでは必ず見つけることができます。
それから、真南の方向を知るためのコンパスも忘れないように。